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医療の「継続性」を知ると、医師として別の景色がみえる:金井伸行先生(1/2)

医療の「継続性」を知ると、医師として別の景色がみえる:金井伸行先生(1/2)

わが町のZaitakuHacker!、一回目は京都市伏見区で地域密着型の病院経営を目指し、救急・在宅・予防医療のシームレスな連携に取り組む、医療法人社団淀さんせん会の金井伸行理事長です。

金井先生は1999年に京都大学医学部を卒業後、飯塚病院で研修を積み(初期・後期)、洛和会音羽病院を経て2007年に医療法人社団淀さんせん会の理事長に就任しました。金井先生が就任後打ち出した方針は、「在宅医療」「救急医療」「予防医療」の3本柱です。

「病院の勤務医と、在宅医療を行う開業医との間にある意識のギャップを埋めたい」と語る金井先生。そのために地域の病院ができることは何か?院内のシステム改革から在宅医療の教育プログラム構築まで、診療の合間を縫って奔走する金井先生にお話をうかがってきました。

金井伸行先生:日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医、日本内科学会 総合内科専門医、日本救急医学会 救急科専門医、日本医師会 認定産業医、日本医師会 認定健康スポーツ医

(所属/役職など本記事内の情報はインタビュー時のものです)

在宅医療との関わり方

現在は医療法人社団淀さんせん会の理事長として金井病院、金井クリニックをはじめ、デイサービスセンター、訪問看護ステーション、高齢者専用賃貸住宅、フィットネスジムなどのマネジメントを行いながら、外来や訪問診療の現場などで診療を行っています。

私が理事長に就任した2007年当時、この地域では在宅医療に力を入れている開業医の先生が少なく、また、病院勤務医と在宅の先生との間に大きな意識のギャップがあるのを感じていました。例えば、退院前にカンファレンスをするにしても、勤務医側の在宅医療に対する理解不足によりコミュニケーションが円滑にとれないといった状況です。

そこで、これからの超高齢化社会に必要な在宅医療を推進していくには、入院機能を持っている地域基幹病院が中心となって進めなければならないと考え、在宅医療に力を入れることを決めました。

金井病院グループでは、外来や入院、救急、健診といった部門間の連携を重視しながら在宅医療を行っています。まずはグループ内にシームレスなワークフローを構築し、そこにグループ外の先生や他の職種の方(ケアマネージャー、訪問薬剤師、理学療法士など)に加わっていただきます。入院や救急を受けられる金井病院がハブとなり地域全体で連携をとっていければと考えています。

また、京都大学医学部の臨床准教授を兼任する戸城仁一医師が在宅医療専従の指導医として勤務しており、教育にも力を入れています。日本在宅医学会認定の「金井病院グループ在宅研修プログラム」を提供したり、京都大学医学部の学外臨床実習を受け入れたりしています。さらに、平成27年度からは、日本プライマリ・ケア連合学会認定の「関西家庭医療学センター 家庭医療学専門医コース」を開始し、外来・病棟・在宅医療をすべて経験できる後期研修プログラムも始めることになりました。ちょっとした見学も随時受け入れていますので、在宅医療の現場を体験したいと思われる方はお気軽にご相談ください。

在宅医療の効率化を図るには?

グループ内の部門間連携を図るうえで効果を発揮しているのが、統一された患者さんIDです。当グループでは3年前に電子カルテを導入しましたが、そのときに、10万人以上に及ぶ全患者さんを一意なIDで管理できるようにしました。移行作業は大変でしたが(苦笑)。

例えば健診を受けて精密検査や再検査となった場合でも、当グループ内であれば外来にわざわざ紙ベースの健診結果を持参しなくとも電子カルテに情報が入っています。訪問診療もしくは訪問看護を受けている患者さんが急変し救急車で運ばれても救急のスタッフは、その患者さんのこれまでの病歴や服用している薬などをすぐに確認できます。

特に在宅医療だと患者さんが入退院を繰り返すケースも少なくないので、統一されたIDでのカルテ管理は非常に役立っています。

一方、在宅医療だけでみると、やはりクラウドの活用は無視できません。在宅ですと、グループ外の先生や多岐に渡る職種、事業所の方との情報共有が大事になってきます。

私たちが利用しているのはGoogleドライブです。各患者さんの同意を得た上で、グループ外の事業所(調剤薬局、高齢者住宅、グループホーム等)の方にはアカウントを用意していただき、患者さんごとに閲覧・編集制限を細かく設定しています。セキュリティに注意を払いながらも、いつでもどこでも情報を共有できるので在宅医療を効率的に行ううえで重要なツールとなっています。

飯塚病院で研鑽を積み、その後は洛和会音羽病院で診療現場に立つだけでなく研修医の指導にもあたった金井先生。救急医として順風満帆に思えるキャリアパスを進みながらも、医師として何か満たされない違和感を覚えていたといいます。はたしてその違和感とは?

医療の「継続性」を知ると、医師として別の景色がみえる:金井伸行先生(2/2)

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