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バリアフリーを阻むモノとは?「老前整理(R)」のススメ(←生前整理ではない)

バリアフリーを阻むモノとは?「老前整理(R)」のススメ(←生前整理ではない)

こんにちは、Dr.カンの「在宅医療/訪問診療クリニック開業記」シリーズ以外では英字表記のペンネームを使おうと勝手に決めたtuno.akaiです。「老前整理(R)セミナー」に参加してきたので、少しでも共有できればと願いキーボードをパチパチしています。ちなみに、(R)とは商標登録済みということです。「老前整理(R)」というワードは、セミナーの講師である坂岡洋子さんが代表取締役を務める株式会社くらしかるが所有しているのです。

新米事務員が偉そうに言うことではないのですが、在宅医療/訪問診療は患者さんのご自宅で医療行為を行います。「住宅環境の整備は、病棟を整えるのと同じことだよな」と、ひそかに思っていました。

住宅環境を整える専門職は……建築士??ですかね?「高齢化社会に対応した住宅環境」について、お話を聞いてみたいなと思っていたら、一般社団法人神奈川県建築士事務所協会横浜支部が「老前整理セミナー」を開催されるとの情報が入りました。「老前整理(R)」?「生前整理」との違いはなに?気になりますね。とにかく建築士に会えるなら参加するしかないですね。行ってきました!

バリアフリーの住宅を設計しても無駄になる??

いきなり衝撃をうけました。階段に手すりを付けたり、段差をなくしたりしても家の中にモノが多くて機能を果たさないケースが少なくないそうです。よく考えればその通りなのですが、気づきませんよね。引っ越しする時に何もなくなった部屋を見て、「あー、こんなに広かったんだー」とシミジミしますよね。新居に家具や荷物を入れると「あれ、意外に狭いぞ」なんてことも。

「バイアフリー以前の問題でモノが多すぎる!」。インテリアコーディネーターだった坂岡さんが福祉住環境の講座で教えていたときに実感されたことです。受講生の中には介護をされている方も多くいらしたそうで、お話を聞いていると住宅のデザインよりも「モノの多さに悩んでいる」ことが分かったとのこと。

坂岡さんはケアマネージャーの資格をとり、介護の現場で働きながら「モノを減らす」ためにはどうしたら良いのか、研究されたそうです。そして2010年、『老前整理』と題した本を出版されました。10万部を突破したそうですから、悩んでいた方がいかに多かったことか。

坂岡洋子さん(株式会社くらしかる代表取締役)

坂岡洋子さん(株式会社くらしかる代表取締役)

親のモノは捨てられないジレンマ

「老前整理(R)」は「生前整理」とも「遺品整理」とも違います。「生前整理」は主に遺産の整理、「遺品整理」は説明するまでもないですね。大切なのは「生前整理」と「遺産整理」は家族の問題であるのに対して、「老前整理(R)」は自身の問題ということです。

介護の現場で分かったことは、要介護状態になると片付けは不可能。家族が整理することになるが、介護で疲れ果てている。しかも、親のモノを親の目の前で片付けるのは気が引けるということです。そこで、自身に気力と体力、判断力があるうちに「老前整理(R)」を行いましょうというワケです。ちなみに判断力とは認知症の類いではありません。これからの暮らしを客観視してモノの要・不要を判断できる力を指します。

セミナーでは「老前整理(R)」を行うことのメリットが5つ紹介されましたが、なにはともあれ、「安全」につながるのが大きなメリットになります。患者さんのお宅で「これ、ここにあると転倒につながって危ない」と思うことが多々あるかと。ご家族も高齢になっているので、ご家族自身も危険ですよね。

自分の危険だけでなく家族の危険を排除するためにも、元気なうちに「老前整理(R)」を行うことが重要なんですね。

ではどうやって整理すればいいの?となりますが、長くなるので、気になる方はぜひ本を手にとってみてください。個人的には「1日1個ずつ捨てたら1年で365個減ります」というのがヒットしています。整理の仕方はあくまでテクニックなので、まずは「老前整理(R)」という概念に興味を持っていただけたら幸いです。

モノが多すぎると怪我のリスクが高まります。お金をかけてバリアフリー住宅を建てても機能を発揮できません。高齢者が元気にすごせたら、本人も家族も、医療財源的にも幸せですよね。というのは、ありふれた意見ではありますが、他職種連携を考えるうえで、医療・介護以外の専門家とも連携をはかっていくと、また違うアイデアを得ることができて「地域で支える」ことにつながっていくのでは?なんて感じたしだいでございます。

医療・介護以外の専門家から面白いお話をうかがえたら、またキーボードパチパチしますね!ではでは。

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