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医療の「継続性」を知ると、医師として別の景色がみえる:金井伸行先生(2/2)

医療の「継続性」を知ると、医師として別の景色がみえる:金井伸行先生(2/2)

飯塚病院で研鑽を積み、その後は洛和会音羽病院で診療現場に立つだけでなく研修医の指導にもあたった金井先生。救急医として順風満帆に思えるキャリアパスを進みながらも、医師として何か満たされない違和感を覚えていたといいます。はたしてその違和感とは?

金井伸行先生:1999年に京都大学医学部卒。飯塚病院、洛和会音羽病院を経て、医療法人社団淀さんせん会理事長に就任(現職)。日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医、日本内科学会 総合内科専門医、日本救急医学会 救急科専門医、日本医師会 認定産業医、日本医師会 認定健康スポーツ医

(所属/役職など本記事内の情報はインタビュー時のものです)

なぜ在宅医療に力を入れているのか?

先ほども述べましたが、今は在宅医療を広めるための活動に力を入れています。なぜか?やはり「10年間、同じ患者さんを診ていたら医師として別の景色がみえた」ということが大きいと思います。

父の跡を継ぎ、金井病院グループの理事長になったのは7年前ですが、その前から…、3年程ですかね、非常勤で外来を手伝っていました。よって、10年間診ている患者さんが何十人もいらっしゃいます。

救急医の頃は、救急にいらした患者さんに診断をつけて一時的な処置をするのが仕事でした。その場限りのお付き合いというのでしょうか。様々なケースに対応できる能力を身につけることはできました。しかし、ただただ患者さんが目の前を通り過ぎていくことに、どこか医師としての違和感を覚えていました。

プライマリ・ケアの5大要素に「継続性」というものがあります(注:5大要素のその他は「近接性」「包括性」「協調性」「責任性」)。「10年も診ていると、患者さんと医師との間にドラマがいくつも起きます。

状態が悪化して救急で運ばれてきたり、入院したり。退院後、外来通院になるときには、患者さんの生活環境を整えてあげないといけません。さらに、寝たきりなどで通院できなくなったら、訪問診療を含めた在宅サービス導入のコーディネートをする必要があります。

ひとりの患者さんの人生の、様々なステージに関わることによってお互いに信頼関係ができ、医学的な処置はもちろんですが、医師として、人としてどう関わってあげればよいのか、そういうことを自然に考えるようになりました。目の前の患者さんの主治医として、コミュニティーの中で医療を提供する医師としてのやりがいを感じることができました。

研修医、あるいは救急医として仕事をしていた頃に、私が医師として何か満たされないと感じていた違和感は「継続性」の欠如だったのかもしれません。その「継続性」を学ぶためには、ひとりの患者さんを年単位で続けて診る在宅医療の分野は非常に適していると考えています。若い先生に「継続性」の大切さを知っていただくためにも、在宅医療を体験できる場を少しでも多く提供していければと思っています。

若手医師へのメッセージ

若い時は様々なフィールドで勉強することが大事です。ただその中で、1年でも2年でも「継続性」を意識して医療に取り組むことも重要だと思います。どのような専門を選ぶにせよ、医師である限りは医師としてのやりがいや喜びを感じる瞬間を体験して欲しいと思います。

在宅医療は患者さんのお宅に上がらせてもらい診察や治療をします。その点で「アウェイの医療」とよくいわれますが、患者さんにとっては「ホーム」です。医師の視点では、病院で患者さんを診るのとは全く景色が違います。外来診療と違い、患者さんの普段の生活を肌で感じることができますし、長年通うことで患者さんの人生そのものをうかがい知ることができる場面もあります。

そうして培った信頼関係があってこそ、患者さんの人生に自分が主治医として関わるという重要な役割を任せていただける喜びを感じられるのかもしれません。

卒後の初期臨床研修中には「継続性」を体験することは正直難しいと思います。3か月毎の各科ローテート研修では、技術や知識を体得するだけで精一杯でしょう。しかし、研修を終え地域の医療機関で勤務する際には、ぜひ「継続性」を強く意識していただきたいと思います。どのような環境でも意識さえすれば、何かしら得ることはできると思っています。

私は、救急医として多くの知識や技術を学ばせていただきました。そして今、在宅医療に携わるようになって、また別の意味で医師としての働きがいや充実感を味わえていることに感謝しています。

ぜひ皆さんも、医療の「継続性」を意識して医師としてのキャリアを積んでいってください。そしてもし興味があれば在宅医療の現場を体験してみてください。

金井病院グループはZaitakuHackerの趣旨に賛同し、見学にいらした先生に対してしつこい勧誘はしません(笑)。お気軽にお問い合わせください。

病院概要
名称:医療法人社団淀さんせん会 金井病院
病床数:158床(一般114床 療養44床)
理事長:金井伸行
住所:京都市伏見区淀木津町612-12
電話番号:075-631-1215
アクセス:京阪本線「淀駅」徒歩約7分
関連施設:金井クリニック、デイサービスセンター「愛会」、訪問看護ステーション「ひだまり」、高齢者専用賃貸住宅「それいゆ」、ロコモ予防フィットネスクラブ「すまいる」

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