開業物語

赤井 角:院長、医療器具や往診車から比べると優先順位が下がってしまうのですが、事務作業に必要な物品もありますよねー。

Dr.カン:はい。どうしたのですか?突然?

赤井 角:いや、これまで院長のお話から、患者さん宅での診療に役立つモノの購入に予算を投じた方がいいのかな?我々バックヤードにいる事務スタッフは多少不便でも。人力でどうにかする的な。

Dr.カン:なるほど。「選択と集中」という面では、そのようなアイデアも「あり」です。しかし、もう少し考えてみてください。

赤井 角:もう少し考える??

Dr.カン:はい。赤井君も経営などについて、だんだんとわかってきたと思いますが、あと一歩です。全体を俯瞰してみてくださいね。

赤井 角:俯瞰・・・??

Dr.カン:患者さん宅での診察が最も大切であることは否定できません。しかし、その後の付帯業務についても考えて欲しいのです。

赤井 角:あ、「遠足は家に帰るまでが遠足です」的な・・・。診察しても、その後の事務作業が進まないと完結しませんね。

Dr.カン:(遠足・・・ま、いいか)在宅医療/訪問診療は院外活動です。外にいる医師と、院内にいる事務スタッフとの連携をどう効率的におこなうか?全体のフローを上から見つめ直すことが重要です。診察した後に、医師が戻るまでの時間は相当あります。一人の患者さんを診て直ぐに戻るコトは希ですし。

赤井 角:「医師が、朝に出発して、戻ってくるのは夜」ということもありますよね。みどり訪問クリニックでは、診察後のカルテ情報や、次に必要なアクションへの指示がリアルタイムで飛んで来るので、先生方が帰ってくるまでに事務作業は完結できますが、そうでない場合・・・先生方のお帰りを待ってからの事務作業になりますね。

Dr.カン:効率悪いですよね?

赤井 角:はい。人力でどうにか・・・というレベルではありませんねー。先生方が訪問している間は暇なのに、お帰りになると忙しいという・・・。僕、残業嫌いですし。経営的に人件費の無駄です。

Dr.カン:無駄が生じると、どうなりますか?

赤井 角:患者さんの診療にかかるコスト、つまり医療器具への投資や・・・、あ、なんだか、一番大事な患者さんの診療に関わるコストをカットする必要がでてきます。

Dr.カン:事務スタッフがいかに効率的に動けるか?それを考える、そのために必要なモノやサービスがあれば、積極的に取り入れることが重要になりますよね。

赤井 角:だから、みどり訪問クリニックでは、情報の共有が瞬時にできるクラウドサービスを積極的に利用しているんですねー。

Dr.カン:はい。もちろん、情報の漏洩につながらないようにセキュリティに配慮した仕組みを取り入れています。

赤井 角:わかりました!そのセキュリティだかクラウドだか、よくわかりませんが勉強することにします!その方が僕にとっても効率的!!

Dr.カン:うん?「僕にとっても効率的」って??

赤井 角:正直言いますと・・・診療の効率化を図るためには、医学の勉強が必要だなって思っていたんです。でも難しくって(苦笑)。時間もかかりますよね。
しかし!事務方の効率化を考えるのであれば医学よりも難しくないと思いました。普段の生活で、「これ便利だなー」ってモノやサービスを組み合わせればいい。

Dr.カン:はい。(なんか赤井君熱くなってきたな・・・)

赤井 角:要は時間の使い方なんです。在宅医療/訪問診療の全体を俯瞰して、診療面は先生方にお任せする、その後の付帯業務=事務作業の効率化は僕が考える。これまで院長が担当してきた「事務作業の効率化を考える時間」を僕が担えば、それだけ院長は患者さんのご自宅に足を運べるワケですよね。つまりは僕も診療に参加していることになるのでは?と思ったのです。

Dr.カン:うーん、素敵な発想ですね。法律上、診療は医師しかできませんが、診療業務の周囲をサポートしてくれるスタッフ無くして医療は成立しません。在宅医療の診療以外の付帯業務を効率良く回してくれれば、その分だけ患者さんを訪問できます。赤井君は医師ではありませんが、私たちと一緒に診療している、と言っても過言ではないですね。

赤井 角:今から医学部に行くのはお金がかかるよなー、どうしようって昼間は公園でお菓子食べながら悩んでいたのですが、これではっきりしました!付帯業務の効率化に命かけます!

Dr.カン:え、公園でお菓子食べながら・・・。

赤井 角:大丈夫ですよ、クラウドを利用してシステム組んでいるので、患者さんを訪問されている院長や先生方だけでなく、我々事務も大抵のことは外で処理できます♪ もっと効率化しますのでご心配なく。

Dr.カン:赤井君の、その、性格というか・・・考え方が少し心配(苦笑)。まーとにかくお願いしますねー。

 

第15話のまとめのヒトコト

「在宅医療の付帯業務はオマケではない。質に貢献する効率化を極めよう。」