Dr.カン:今日は開業に必要な申請についてだったよね?
赤井 角:はい。よろしくお願い・・・あ!転居届書くのを忘れていました。少し待っていてくださーい。
Dr.カン:えー、こっちが後回しになるの(失笑)。
赤井 角:仕事頑張るためにクリニックの近くに引っ越したんです。少しはご協力ください!
Dr.カン:(スタッフ教育を見直さねば・・・)
・・・・・1時間後
赤井 角:お待たせしました!いやー面倒くさいですね。転居先が離れていたんで引っ越してくるまで役所に行けず・・・。失礼しました。あれ?そういえば、院長は開業手続きするために、当時住んでいた東京から名古屋まで通ったとおっしゃっていましたよね?そんなスムーズに申請できたんですか?
Dr.カン:かなり大変でしたよ。前にも言いましたが、開業日にフラフラだったのは、全ての開業申請をひとりでこなしたからです。
開業申請とは書類の山と格闘すること!
赤井 角:申請をひとりでこなすのは、気合いと根性でどうにかなりそうですが、そもそも何から手を付けていいのか、まったくイメージがつきません。院長は最初から手順をご存知だったんですか?
Dr.カン:気合いと根性・・・。ま、最終的にそうでしたが。私も開業申請の知識はありませんでした。在宅医療/訪問診療クリニックの開業となると、コンサルタントでも知らない場合が多いです。私は、全体像を把握するために、まずは保険医協会で「新規開業の手引き」の取り寄せるところから始めました。
赤井 角:保険医協会ですか。
Dr.カン:はい。保険医協会には開業に役立つ資料や書籍がたくさんあります。しかも安価で分けてくれます。会員には無料のものも多いんですよ。
赤井 角:そうなんですか。ボクも今度行ってみようかな?
Dr.カン:事務所に行かずとも、各県の協会ホームページがありますよ。経営や雇用管理などクリニック運営に関する書籍があるので赤井君も勉強になるはずです。
赤井 角:開業申請は保険医協会で学んだから楽勝だったというワケですねー。
Dr.カン:いやいや、実際の手続きは大変でしたよ(フラフラになったって言ったでしょ!)。申請その1として、クリニックの図面を持って保健所に行きます。最初はかなり駄目だしされましたが、職員が親切に教えてくださったので良好なコミュニケーションをとりながら進めることができました。
赤井 角:楽勝ではなかったんですね。
Dr.カン:はい。さらに大変だったのが、申請その2!厚生局です。名古屋だと東海北陸厚生局になります。事前準備して心して臨まないと何度も無駄足を踏むことになります。実は、在宅療養支援診療所の場合、保険医協会の手引きにもリスト化されていない申請書が必要なんです。足りない申請書があった場合、職員から「ホームページを見てください」とあっさり言われるのですが、このホームページの構成が複雑なのです。目的の申請書までたどり着けません。
赤井 角:えー、院長はどうしたんですか?東京から名古屋まで何度も足を運ぶワケにいかないですし。
Dr.カン:そうなんです。厚生局職員に嫌がられるのを覚悟で、しつこくその場で申請書のありかを尋ねてダウンロードしました。赤井君が言うように何度も足を運ぶワケにいかないので、かなり必死で食い下がりました(笑)。
在宅医療/訪問診療クリニックならでは?意外と大変な警察への申請
赤井 角:うわー、それは大変でしたね。厚生局への申請が最大の壁でしたか?あとは・・・なんかあるんですか?
Dr.カン:まぁ、厚生局が一番大変でしたね。その後は県庁と市(区)役所で麻薬関連の申請をして・・・。あ、そうそう、これは在宅医療/訪問診療クリニックならではかもしれない。警察から道路駐車許可書を発行してもらわないといけないんです。
赤井 角:車で患者さん宅へは車で向かいますからね。
Dr.カン:そうなんです。この手続きは開業前には行えない。実績がないと発行してくれないんです。しかも、みどり訪問クリニックの訪問範囲は3つの区と近隣の市にまたがります。それぞれの警察署から発行してもらう必要があるんです。
赤井 角:名古屋市は●●区、●●区と、16の区に分かれていますからねー。区の上、名古屋市全体の道路駐車許可書はないんですか?
Dr.カン:ないんですよー。あくまで区ごとです。しかも区の警察署ごとに温度差があって、対応が違います。意外と大変でした。
赤井 角:患者さん宅の位置を地図で一つひとつ細かくチェックされるってやつですね。開業初期からいるスタッフに聞いたことがあります。大変でしたねー。次回は何を伺おうかな?とりあえず、転入届出してきてから考えていいですか?
Dr.カン:・・・はい。
第11話のまとめのヒトコト
「開業申請は、厚生局が難関!まずは「新規開業の手引」(保険医協会)を入手!」