赤井 角:院長、昨夜はお食事会を開いていただきありがとうございました。楽しかったです。でも・・・何故か頭がガンガン痛いのです。MRIをとっていただけませんか?
Dr.カン:(酒くさー)。赤井君、MRIをみどり訪問クリニック内で見たことありますか?しかも原因は昨夜ワインを一人で5本も飲んだことです。二日酔いです。
赤井 角:えー、そんな冷たい診断なさらずにー(涙)。手のひらサイズの機器で、なんやら体内を診ているではないですか。購入を担当したので知っていますよー、90万円くらいでしたよ。そんな高価な機器はMRIでしかない!
Dr.カン:(苦笑)あれは、エコーですね。ちなみにMRIは千万円レベルですよ(笑)。
赤井 角:え?そうなんですか??医療器具はそんなに高価なんですか・・・。
Dr.カン:はい。でもね、小型のエコーは10年前であれば200万円くらいしたものです。手のひらサイズで持ち歩けるエコーが開発されて、しかも、90万円前後で購入できる世の中になりました。ありがたいですね。
赤井 角:でも、「ポケットエコー」ですよね。病院にあるエコーよりも小さいのに本当に診察に役立つんですか?
Dr.カン:あるエコーの名人が、ポケットエコーは「曇りガラス越しにのぞいているイメージ」と、おっしゃっていました。画像の精度は病院で使っている本格的な機器には劣りますが、在宅の現場レベルでは十分役立ちます。エコーで確認したいケースは、私の場合で週に2回程度はあります。エコーをとるために都度、病院に送るのは現実的ではないので、大変役立っています。患者さんのためを思うと、持っていて損はないと判断しました。
赤井 角:ま-、病院にあるようなエコーを患者さんのご自宅に運ぶのは手間ですものね。
Dr.カン:運搬の手間もありますが、患者さんのご自宅は、介護用ベッドがスペースをとっていて手狭になっている場合が多いです。本格的なエコーを運べたとしても、設置するのに一苦労です。
赤井 角:あと、病院で見るような大きな医療器具が、突然部屋に運ばれてきたら、患者さんはビックリしますよね。「こんな医療器具で検査しないといけないほど、悪化しているのか・・・」と。
Dr.カン:それもありますね。患者さんだけでなく、ご家族も不安になることでしょう。余計なストレスはかけたくないですね。
赤井 角:そうですよねー、あ!物品の購入係としては、診察時に患者さんやご家族に余計な不安やストレスをかけないよう、できるだけコンパクトでスムーズに診療できる器具を選別するというのも、心構えの一つになりますね!
Dr.カン:(お、だんだん意識が高くなってきたな 笑)。そのためにも、新製品の情報収集などお願いしますね。赤井君がいいと思った物品があったら、教えてくださいね。すぐに検討します。
赤井 角:はい!ポケットMRIの開発状況を逐一追いかけます!
Dr.カン:ポケットMRI・・・それは無理でしょ(苦笑)。・・・でも、いつしか、そんな時代が訪れるかも知れませんね。
赤井 角:院長、心電図は不要ですか?15万円くらいです。ポケットエコーに比べて格安ではないですか!
Dr.カン:お、現実的なところを指摘しましたね(笑)。心電図で急性の確認が必要と考えるケースは問診で推論でき、その場合専門医にコンサルトすることが多いのです。不要とは言い切れませんが、持ち運べる器具の量は限られているので、天秤にかけるとポケットエコーを常時携帯したいですね。
赤井 角:器具の値段ではなく、使用頻度とコストを加味した「費用対効果」ですかー。みどり訪問クリニックに来る前に勤めていた会社でサンザン上司に言われていました(苦笑)。
Dr.カン:はい。「費用対効果」はとても重要ですね。ただし医療では、時には「費用対効果」を無視した選択も必要になることを忘れないでくださいね。
赤井 角:すべては患者さんのため。単純に「使用頻度と値段を掛け合わせた」算数的な「費用対効果」ではだけではなく、患者さんの状態にマッチした医療器具を揃えるのが大事ってことですか-。
Dr.カン:はい、そうですね。でも無駄使いは許しませんよー(笑)
赤井 角:肝に銘じます・・・。
第14話のまとめのヒトコト
「検査機器の小型化は在宅での診療のレベルアップに貢献している。エコーを聴診器並みに使いこなす時代はもうすぐに!」
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