開業物語

Dr.カン:ただいまー。

赤井 角:お帰りなさい!今日も一日、診療お疲れ様でしたm(__)m。

Dr.カン:赤井君、おととい新しく金魚を買いに行きましたよね?

赤井 角:はい。(心の声/なぜ金魚?おとといのことを恨んでいるのか??)新しく2匹買ったので合計8匹になりました。

Dr.カン:金魚にとっては水槽が狭くなったってことだね。

赤井 角:そうですね。少し可哀想ですが・・・。あと、エサをあげるときが大変です。8匹が物凄い勢いでエサを取り合っていて、ホント、血みどろの争いですね(失笑)。

Dr.カン:ほーほー。確かに可哀想ですね。では赤井君が金魚だったとしたら、そんな水槽の中にずっといたいですか?

赤井 角:いやー(苦笑)。飼い主が言うのもなんですが、嫌ですね。他者と争うのって苦手なので。

Dr.カン:なるほど。では昨日の続き、「ブルー・オーシャン」のお話をしましょうか。

ライバルと激しい競争を続ける「レッド・オーシャン」とは?

Dr.カン:赤井君、この本を見てごらん。W・チャン・キムとレネ・モボルニュが書いた『ブルー・オーシャン戦略』(日本語版は2005年にランダムハウス講談社から刊行)という著書です。

赤井 角:ビジネス書っぽいですね。経営戦略ですか??

Dr.カン:そのとおり。この中では、市場を「レッド・オーシャン」と「ブルー・オーシャン」とに分類しているんですよ。先ほどから言っている「ブルー・オーシャン」という用語は、正確には『ブルー・オーシャン戦略』の中で定義されたものですね。

赤井 角:「レッド・オーシャン」と「ブルー・オーシャン」の違いはなんですか?

Dr.カン:そうだねー、ヒトコトで言うと「レッド・オーシャン」は、既にできあがった市場ですね。競合、つまりライバルがたくさんいるので、ライバルに打ち勝つための戦略が必要になる。販売価格を下げたり、おまけをつけたり、接客をよくしたりと、他者(社)に負けないようにしないといけない。血で血を洗うような激しい競争が行われている領域なので「レッド・オーシャン」と名づけられたのです。

赤井君の金魚も、ものすごい勢いでエサの取り合いをしているって言っていましたよね?血みどろの争いって。同じ水槽(市場)の中で、エサ(収入)を獲得するために、ライバル(競合)よりも素早く動いたり弾いたり(競争)しないといけない、まさに「レッド・オーシャン」ですね。

赤井 角:金魚に随分と悪いことしているような気に・・・。でも、院長、うちではもっと大きい水槽を買うこともできないし、エサを増やすこともできません(心の声/お給料上がれば別ですが)。

Dr.カン:(心の声/仕事を頑張れば上がりますよ)確かに、赤井君の水槽のように、一度できあがった市場はなかなか変化しませんよね。市場は変わらない、しかし、このまま他者と争い続けるのは疲れる。どうしたら良いのか?

赤井 角:まー、争いたくなければ水槽、いや「レッド・オーシャン」から出るしかないですよねー。ライバルのいないところ。

Dr.カン:お、『ブルー・オーシャン戦略』と考え方の方向性はあっていますよ。せっかくだから、もう少しひとりで考えてみましょうか。明日のカンファレンスの後に少し時間があるので、そこで赤井君ならどうするか?聞かせてもらいましょうか(笑)。

赤井 角:えー。そんな・・・。家で金魚たちと考えてみます(ショボン)。

第4話のまとめのヒトコト

「無益な消耗を避けるための知恵が『ブルー・オーシャン戦略』」