開業物語

Dr.カン:皆さん今日もよろしくお願いします。朝カンファ終わり―。さて、赤井君、昨日の宿題はどうですか??

赤井 角:あ、はい・・・。『ブルー・オーシャン戦略』の続きですよね。ボクが金魚だったら「レッド・オーシャン」からどう逃げるのか?
(1)公園の池に移る、あそこならエサがありそう、あと新しくできたので他に魚がいない。
(2)水槽内の水草を育てて独り占め。水槽からは出ませんがエサを独り占めできれば他者と争わなくてすみます。

Dr.カン:別に金魚になり切らなくても良いのですが(失笑)。でも、一晩で考えた割にいいと思いますよ。何事も自分で考えてみることが大事ですし。

赤井 角:院長、答えを聞く前に、そもそも『ブルー・オーシャン戦略』でいう「ブルー・オーシャン」ってなんですか?

他者と争うか?自分と戦うか?どちらを選ぶか

Dr.カン:あ、まだお話ししていませんでしたね。「レッド・オーシャン」は、既にできあがっている、競合との争いが激しい市場でしたね。一方、「ブルー・オーシャン」とは、無限に広がる可能性を秘めた未開拓で競合のいない市場を指します。

そういう意味では、「公園の池に移る」という発想は、いいと思います。もちろん未開拓なのでリスクは伴います。公園の池と言っても実際の広さはわからないし、大量のエサがどこかにあるはずだけど、発見できるかはわからない。自助努力もしくは飛び込む勇気が必要です。

赤井 角:他者と争うか?自分と戦うか?どちらを選ぶか、ですね(心の声/お、良いこと言った)。

Dr.カン:(心の声/まあまあだね)他者に一度勝ってもたいしたリターン(見返り)もなく争いが続くだけですが、発想を転換すれば、大きなリターンを得ることができます。収入だけではありません。市場を開拓するということは、顧客に新しい価値のモノやサービスを提供できるということです。他者に打ち勝つためにパワーを使うよりは、未開拓の市場を開拓することにパワーを使った方が楽しい人生になると思います。

赤井 角:なるほど。ワクワクしてきますね。他者にしても自分にしても、どうせ戦うなら……。あ、でも院長、市場を新しく開拓すると、そこに他者が参入してきて、また「レッド・オーシャン」になるのでは?結局また他者と戦うことになりますよね?

Dr.カン:そのとおり!ただし、「レッド・オーシャン」になるには時間がかかりますし、先に市場を押さえているので、戦いは有利になります。でも、そもそも一度「ブルー・オーシャン」に飛び込んで市場を開拓した経験がある人は、次の「ブルー・オーシャン」を探す術を心得ている人でしょうけど(笑)。

赤井 角:それもそうですね。転々と旅するわけですね。

Dr.カン:あ、ひとつ誤解のないように言っておきますが、最初に赤井君が提示した(2)の案「水槽内の水草を育てて独り占め。水槽からは出ませんがエサを独り占めできれば他者と争わなくてすみます。」も考え方としては良いんです(心の声/アイデアはイマイチですが)。未開拓の市場といっても、違う場所にあるとも限らないのです。

赤井 角:どういうことですか(心の声/褒められたのか?ダメ出しなのか?)???

Dr.カン:『ブルー・オーシャン戦略』で重要なのは、他者と競争しない戦略をとるということです。赤井君が考えたように、同じ市場の中でも、他者と争わないで済む方法があれば、そこが「ブルー・オーシャン」となります。「市場の再定義」というのですが。実際は全く開拓されていない市場を探すのは大変なことなので、今いる市場を見つめなおして「顧客に新しい価値を提供できないか」を考えることが重要になってきます。

あ、そろそろ往診の時間ですね。続きは夕方にでも。

赤井 角:はい。いってらっしゃーい!お気をつけて。

第5話のまとめのヒトコト

「ブルー・オーシャンを見いだすには、自身の発想の転換が必要」