離島での生活や医療について気になりませんか?朴澤憲和先生が「わが町のZaitakuHacker!」にご出演くださったので、どさくさに紛れてお聞きしました。在宅医療や訪問診療に限らず、全体的なお話です。(写真左が朴澤先生、写真右が伊東副院長)

(所属/役職など本記事内の情報はインタビュー時のものです)

奄美大島での生活

奄美大島は温暖な気候で観光地化され過ぎず自然が残っていて、また地域の人々もいつも温かく接して下さるので、ありがたいです。コンビニエンスストアもありインターネットも繋がりますし、通信販売も可能なので正直生活面で困ることはあまりありません(善し悪しは別にして、日本の若い医師は仕事中心の方が多く、日本中どこで生活をしても大差はないのかもしれませんね。)

瀬戸内、加計呂麻は空港から遠いのが難点ですが、海が非常にキレイです。ダイビングやサーフィン、釣りなどがお好きな方は休日に楽しむこともできます。自分のように泳げない方でも、遊覧船やビーチでBBQをしたり、泥染めや大島紬織体験をしたり、楽しみ方は沢山あります。
離島医療の質向上のために取り組んでいること

離島医療の課題は幾つも存在しますが、私たちは「継続性・責任性の担保」「医療の質向上・維持」が特に重要な課題と考えています。先にも述べましたが、同じ医師が長期間継続して診療を行うことは、医療を受ける立場から最も多く望まれる形ですが、長期間離島医療に従事することは資格の取得・維持や家族関係などの点で中々敷居が高く、医師およびコメディカルにおいて短期の応援・交代という形で離島医療は成り立っているのが現状です。

資格取得や子育て・教育などは我々現場の人間だけで解決は難しい点ですが、短期間で医療者が交代する中でも、良質で継続的な診療体制を保持していくか、という離島医療における重要な課題への対応策として、使用薬剤の標準化や引き継ぎサマリーの作成などのシステム整備を行っています。

またシステム整備と並行し、当院では卒前・卒後の医学教育に力を注いでいます。これは私たちが研修を積んだ市立堺病院内科が重視していた「教え・教え合う文化」を当院でも育て・発展させようと、伊東副院長と私を中心に、「教育がある病院には人が集まる。人が集まることで切磋琢磨する文化が生まれ、結果的に診療の質が上がり、地域に貢献できる」を合言葉に、病歴聴取や身体診察の方法や各種疾患の知識、プライマリ・ケアに必要な社会調整のスキルなど、自身が学んだことを積極的に教え合っています。

更にインターネットを用いた院外講師や他病院との症例検討会の開催や院外講師の招聘、交代での学会参加・発表を行うことで、日常診療における疑問の解決や最新の知見を得るように努めています。
また過重労働で燃え尽き症候群にならないように、交代で休暇を取るようにも配慮しています。

まとめますと、瀬戸内徳洲会病院・加計呂麻徳洲会病院の私たちは

(1)日常診療を最も大切に考え、患者・地域にとってベストを尽くす
(2)離島でも世界標準の医療を実践する
(3)臨床医学教育を重視し、若手が生き生きと活躍できるフィールドを提供する
(4)地域の行事・取り組みにも積極的に参加する

以上の4点を重視しています。

現在の医療は疾病の治療のみでは完結せず、医療・介護・福祉が密接な関係となっています。我々は地域全体での連携を重視し、日々の診療に加え瀬戸内地区医療連絡協議会や在宅ケア連絡協議会、 町の防災訓練やみなと祭りの参加など地域の取り組みにも参加し、医療機関だけでなく行政・福祉との多職種連携、そして地域と関わりも大切にしています。

瀬戸内地区在宅ケア連絡協議会:月に1回 病院、診療所の医師、看護師ほかケアマネージャー、施設職員、役場の保健福祉課など多職種が集まり、症例検討や勉強会を行う。

院外講師によるレクチャー:北和也先生による肩関節の診察ワークシーン。

私も卒後7年目となり一応指導医としての立場になりますが、全国から様々な背景、志向の先生方が集まるので、むしろ研修医や医学生の方から学ぶことが非常に多く、いつも感謝しています。